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psoriasis乾癬(かんせん)
乾癬(かんせん)とは?
乾癬は、皮膚の炎症と異常なターンオーバー(新陳代謝)が原因で、境界のはっきりした赤みのある発疹の上に、銀白色のフケのようなカサカサした鱗屑(りんせつ)が厚く付着する、慢性の炎症性皮膚疾患です。病名に「癬(ぜん)」という漢字が使われていますが、カビ(白癬菌)が原因で起こる「たむし」や「水虫」とは全く異なり、人にうつる病気ではありません。日本における患者数は増加傾向にあり、皮膚科領域では、アトピー性皮膚炎に次いで患者数の多い疾患です。乾癬は、皮膚だけでなく、関節炎(乾癬性関節炎)や眼の炎症、腸炎など、全身の臓器にも炎症を及ぼすことがあります。そのため、皮膚症状だけでなく、全身の状態を管理することが非常に重要となります。
乾癬の主な原因と誘発要因
乾癬の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、「遺伝的な素因(体質)」に「外的・内的要因」が加わることで免疫システムが異常に活性化し、皮膚に炎症を引き起こすと考えられています。
- 免疫の異常
- T細胞などの免疫細胞が過剰に働き、サイトカインという炎症性物質を大量に放出します。これが皮膚の細胞に作用し、皮膚の細胞が異常な速さで増殖・成熟してしまう(皮膚のターンオーバーが通常より早くなる)ことで、赤みや鱗屑が生じます。
- 遺伝的な素因
- 乾癬になりやすい体質があることが分かっています。
- 外的要因
- 物理的な刺激(掻き壊し、摩擦、圧迫など)、外傷、感染症などが症状の誘発や悪化に関わります(ケブナー現象)。
- 内的要因
- ストレス、疲労、不規則な生活、アルコールの過剰摂取、喫煙、特定の薬剤などが、症状を悪化させる誘発要因となります。
乾癬の種類
乾癬にはいくつかの種類がありますが、最も患者数が多いのは以下のタイプです。
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
- 乾癬の約9割を占めます。頭皮、肘や膝などの摩擦を受けやすい部位、腰、爪などに好発します。
乾癬の治療法
乾癬は慢性疾患であり、残念ながら完全に治る病気ではありませんが、適切な治療を継続することで、症状のない状態(寛解)を長く維持することが可能です。当院では、患者さんの症状の重症度、病型、生活スタイルなどを総合的に判断し、最適な治療法をご提案します。
外用療法(塗り薬)
軽症〜中等症の乾癬の治療の中心となります。
- ステロイド外用薬
- 皮膚の炎症を抑えます。
- ビタミンD3外用薬
- 皮膚の異常な増殖を抑え、ターンオーバーを正常化する作用があります。
- 併用薬(配合剤)
- ステロイドとビタミンD3を組み合わせた配合剤もあり、効果を高めることが期待できます。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
治療効果を最大限に高め、症状の悪化を防ぐために、日常生活の改善が非常に重要です。
- 規則正しい生活とストレス管理
- ストレスや過労は症状を悪化させる最大の誘発要因の一つです。十分な睡眠をとり、趣味などでストレスを解消しましょう。
- 食事と飲酒
- 暴飲暴食を避け、バランスの取れた食生活を心がけましょう。アルコールの過剰摂取や喫煙は症状を悪化させることが多いため、控えることが推奨されます。
- 保湿と皮膚の保護
- 皮膚の乾燥はかゆみを増し、掻き壊し(ケブナー現象)の原因となります。保湿剤をこまめに塗り、皮膚のバリア機能を保ちましょう。
- 紫外線対策
- 軽度の日光浴は有効なこともありますが、過度な日焼けは皮膚に炎症を起こし、悪化の原因となるため、注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
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乾癬はうつりますか?
いいえ、乾癬は体質や免疫の異常が原因で起こる病気であり、人から人へうつる感染症ではありません。ご家族や周囲の方に安心して接してください。
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乾癬はアトピー性皮膚炎とどう違いますか?
どちらも慢性の炎症性皮膚疾患ですが、乾癬は境界がはっきりした赤みのある発疹に厚い銀白色の鱗屑を伴うのが特徴です。アトピー性皮膚炎は強いかゆみを伴う湿疹が主体です。診断には医師による正確な診察が必要です。
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頭皮のフケがひどいのですが、乾癬でしょうか?
頭皮は乾癬の好発部位の一つです。通常のフケ症(脂漏性皮膚炎)と症状が似ていることがありますが、乾癬の場合は境界がはっきりした赤い発疹を伴い、フケが非常に厚く付着します。自己判断せず、医療機関を受診してください。
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関節が痛いのですが、乾癬と関係がありますか?
はい、乾癬の患者さんの約10〜30%は、乾癬性関節炎(関節の炎症や痛み)を合併することがあります。関節の症状がある場合は、必ず医師に伝えてください。
このような場合はご相談ください
- 皮膚に境界のはっきりした赤みや厚いカサカサ(鱗屑)がある
- 頭皮のフケが非常にひどく、市販のシャンプーでは改善しない
- 関節の痛みや腫れを伴う
- 従来の治療法で効果が見られず、症状が改善しない
乾癬は、長期にわたる付き合いが必要な病気ですが、適切な治療とセルフケアで必ず症状をコントロールできます。一人で悩まず、当院へお気軽にご相談ください。