帯状疱疹単純ヘルペス | わかば医院−皮膚科

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shingles / herpes simplex帯状疱疹・単純ヘルペス

帯状疱疹・単純ヘルペスとは?

帯状疱疹と単純ヘルペスは、どちらもヘルペスウイルス科のウイルスが原因で起こる皮膚疾患です。

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水疱瘡(水痘)の原因ウイルスが、治癒後も神経節に潜伏し、加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下した際に再び活性化して発症します。体の片側に、ピリピリ、チクチクとした神経痛のような痛みが現れ、数日後にその部位に一致して帯状に赤い発疹と水ぶくれが広がるのが特徴です。放置すると、皮膚症状が治った後も痛みが長期間続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という後遺症が残るため、特に高齢者では注意が必要です。

単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスへの感染が原因で起こります。唇の周りや口の中、性器などに小さな水ぶくれが繰り返しできるのが特徴です。発症前に患部がむずがゆくなったり、ピリピリしたりする違和感を感じることが多いです。一度感染すると、ウイルスは体内に潜伏し、疲労や風邪、ストレス、紫外線などの影響で再発を繰り返します。

帯状疱疹・単純ヘルペスの主な原因と誘発要因

  • 帯状疱疹は、体内に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。再活性化の主な誘発要因は、免疫力の低下です。具体的には、以下のような状態が挙げられます。

    • 加齢(特に50歳以上)
    • 過労や睡眠不足
    • 精神的なストレス
    • 病気(がん、糖尿病など)や手術、免疫抑制剤の使用
    • 風邪や発熱
  • 単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。初感染は幼少期に感染者の唾液などを介して起こることが多く、無症状のこともあります。再発の主な誘発要因も免疫力の低下であり、以下の点が挙げられます。

    • 疲労やストレス
    • 風邪や発熱
    • 強い紫外線(海水浴やスキーなど)
    • 月経

どちらの疾患も、「疲れているな」「ストレスが溜まっているな」と感じたときに発症しやすいため、日頃から体調管理を意識することが予防にもつながります。

帯状疱疹・単純ヘルペスの治療法

どちらの疾患も、ウイルスの増殖を抑えるための抗ウイルス薬による治療が基本となります。

帯状疱疹の場合、発症後72時間以内、遅くとも5日以内に抗ウイルス薬を服用することが、症状の軽減と、後遺症である帯状疱疹後神経痛の予防に非常に重要です。当院では、患者様の症状や年齢に応じて、内服薬や外用薬を適切に組み合わせた治療を行います。痛みが強い場合は、鎮痛剤も併用して、患者様の苦痛を和らげることを優先いたします。

単純ヘルペスの場合、発症の兆候である「ピリピリ」「チクチク」といった初期症状を感じた段階で、すぐに抗ウイルス薬を服用することで、水ぶくれが大きくなるのを抑え、治癒までの期間を短縮できます。当院では、再発を繰り返す患者様のために、あらかじめお薬を処方する「再発抑制療法」にも対応しております。

患者様の症状を正確に診断し、帯状疱疹や単純ヘルペスと類似した他の皮膚疾患との鑑別も迅速に行うことができます。早期の診断と治療開始が非常に重要であるため、皮膚に違和感を感じたら、できるだけ早くご相談ください。

日常生活でできること・セルフケアのポイント

安静と休養
十分な睡眠と休養を取り、免疫力を高めることが何よりも大切です。無理をせず、症状が落ち着くまで安静に過ごしましょう。
患部の保護
患部の水ぶくれを破らないように、できるだけ触らないことが重要です。掻きむしると、細菌感染を起こしたり、跡が残ったりする可能性があります。患部は清潔に保ち、やさしく扱いましょう。
栄養バランスの取れた食事
免疫力を維持するために、バランスの取れた食事を心がけましょう。ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂ることをお勧めします。
ストレスの軽減
適度な運動や趣味の時間を取り入れ、ストレスを上手に解消することも再発予防につながります。
紫外線対策
特に単純ヘルペスは、強い紫外線を浴びることで再発することがあります。日差しが強い日は帽子をかぶったり、UVカットの製品を使用したりするなどの対策を心がけましょう。

よくある質問(FAQ)

  • 帯状疱疹と単純ヘルペスの違いは何ですか?

    帯状疱疹は、水疱瘡の原因ウイルスが再活性化して発症し、体の片側に帯状に発疹と痛みが現れるのが特徴です。一方、単純ヘルペスは別のウイルス感染症で、唇や性器など特定の部位に水ぶくれが繰り返しできます。

  • 帯状疱疹は他人にうつりますか?

    帯状疱疹自体は、体の免疫力が低下した患者様ご自身の体内でウイルスが再活性化して起こるため、他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。ただし、水疱瘡にかかったことがない方やお子様が水ぶくれに触れると、水疱瘡として感染する可能性があります。

  • 単純ヘルペスは完治しますか?

    現在の医学では、単純ヘルペスウイルスを体内から完全に除去することはできません。そのため、再発を繰り返す可能性のある病気です。しかし、抗ウイルス薬で症状をコントロールし、再発を抑えることは十分可能です。

  • ワクチンはありますか?

    帯状疱疹には、発症予防や重症化予防のためのワクチンがあり、特に50歳以上の方に推奨されています。ワクチンの種類や効果、費用については、ご相談いただければ詳しくご説明いたします。

  • 初期症状が分かりません。どのような症状が出たら受診すべきですか?

    皮膚に「ピリピリ」「チクチク」といった違和感や痛みを感じ、その後に赤い発疹が出てきた場合は、すぐに受診してください。水ぶくれができていなくても、早期に治療を開始することが重要です。

このような場合はご相談ください

  • 体の片側に、神経痛のような痛みや違和感を感じ、その後に発疹や水ぶくれが出てきた
  • 唇や口の周りに水ぶくれができ、かゆみや痛みを伴う
  • 市販薬を塗っても症状が改善しない、あるいは悪化している
  • 発疹や痛みが広範囲に及んでいる
  • 発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状も伴っている

帯状疱疹も単純ヘルペスも、早期に治療を開始すればするほど、症状が軽く、治りも早くなります。特に、帯状疱疹は後遺症のリスクもありますので、一人で悩まず、少しでも異変を感じたらお気軽にご相談ください。患者様の不安に寄り添い、最適な治療をサポートいたします。