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dry skin乾燥肌
乾燥肌(乾皮症)とは?
乾燥肌は、皮膚の一番外側にある「角質層」の水分や油分が減少し、バリア機能が低下した状態を指します。正式には「乾皮症(かんぴしょう)」と呼ばれ、誰にでも起こりうる非常に身近な皮膚のトラブルです。バリア機能が低下すると、外部からの刺激(ホコリ、アレルゲン、化学物質など)が皮膚の内部に侵入しやすくなり、かゆみや赤み、ひび割れなどの症状を引き起こします。
放置すると、かゆみで皮膚を掻きむしってしまい、さらにバリア機能が壊れて、湿疹や炎症を伴う「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」へと進行することがあります。特に、ひじやひざ、すね、お腹まわりなどは乾燥しやすく、早めの対策が重要です。単なる「乾燥」と軽視せず、病気の一つとしてとらえ、適切なスキンケアと治療を行うことが大切です。
乾燥肌の主な原因と誘発要因
乾燥肌の主な原因は、皮膚のバリア機能の低下です。このバリア機能は、加齢によって自然に衰えるほか、以下のような日常生活のさまざまな要因によっても誘発・悪化します。
- 過剰な洗浄
- 熱すぎるお湯での入浴や、洗浄力の強いボディソープの使用、ゴシゴシと強くこする洗い方は、皮膚の天然の保湿成分まで洗い流してしまいます。
- 空気の乾燥
- 冬場の低い湿度や、エアコンによる乾燥した空気は、皮膚から水分を奪います。
- 摩擦や刺激
- 化繊の衣類、タイツ、下着などによる摩擦、また、手袋やマスクなどによる物理的な刺激も皮膚のバリア機能を壊す原因となります。
- 生活習慣
- 睡眠不足や偏った食生活、ストレスなどもターンオーバーを乱し、皮膚のバリア機能を低下させる要因となります。
間違ったセルフケアや、自分に合わないスキンケア製品の使用も乾燥を悪化させる一因です。ご自身の生活習慣やスキンケア方法を一度見直してみることが大切です。
乾燥肌の治療法
乾燥肌の治療は、皮膚のバリア機能を正常に戻すことと、炎症やかゆみを抑えることが中心となります。当院では、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療プランをご提案いたします。
- 保湿剤による治療
- 症状に合わせて、尿素系、ヘパリン類似物質、ワセリンなどの保湿剤を適切に処方します。保湿剤の種類や正しい塗り方を丁寧に指導し、効果を最大限に引き出せるようにサポートいたします。
- かゆみ・炎症を抑える治療
- かゆみや湿疹を伴う場合は、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服薬を処方し、炎症を鎮めます。
- スキンケア指導
- 普段のスキンケア方法(洗顔・入浴方法、保湿剤の選び方・塗り方)や生活習慣について、専門的な視点から具体的なアドバイスを行います。
単なる乾燥ではなく、その他の皮膚疾患との鑑別も正確に行います。また、症状が落ち着いた後も、再発を予防するためのスキンケアの継続をサポートいたしますので、ご安心ください。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
乾燥肌の改善には、毎日のセルフケアが非常に重要です。
- 保湿剤の正しい使い方:
- 入浴後、タオルで水気をやさしく拭き取った直後(5分以内)に、保湿剤をたっぷり塗布しましょう。「乾燥しているな」と感じたら、日中もこまめに塗り直すことが大切です。
- 入浴時の注意点
- 38~40℃のぬるめのお湯に浸かり、長湯は避けましょう。体を洗う際は、洗浄力の強すぎないソープをよく泡立て、手のひらでやさしく洗い、タオルやブラシでこすらないようにしてください。
- 衣類選び
- コットンやシルクなど、肌にやさしい天然素材の衣類を選び、直接肌に触れる下着やパジャマは特に注意しましょう。
- 加湿と水分補給
- 冬場は加湿器を使って部屋の湿度を50~60%に保ち、喉だけでなく皮膚の乾燥も防ぎます。また、こまめな水分補給も皮膚のうるおいを保つために有効です。
よくある質問(FAQ)
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市販の保湿剤ではダメですか?
市販のものでも効果を感じる場合は問題ありません。しかし、肌質や症状に合っていない場合や、保湿だけでは不十分なケースも多いです。皮膚科医が処方する保湿剤は、市販薬よりも保湿力が高く、かゆみや炎症を抑える成分が含まれていることもあります。一度、専門医にご相談いただくことをお勧めします。
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乾燥肌は治りますか?
乾燥肌は、日々のスキンケアや生活習慣を見直すことで、症状を大幅に改善し、再発を予防することが可能です。完全に「治る」というよりは、上手に付き合っていく病気と言えます。当院では、患者様がご自身の肌と向き合い、適切なケアを継続できるようサポートいたします。
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かゆみがひどくて眠れません。どうすればいいですか?
かゆみがひどい場合は、まず冷やすことが有効です。冷たいタオルを当てたり、保冷剤をタオルで包んで患部に当てたりしてみてください。しかし、根本的な解決にはなりませんので、早めに皮膚科を受診し、かゆみを抑えるお薬を処方してもらうことが大切です。
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乾燥肌は子供でもなりますか?
はい、お子様の皮膚は大人よりもデリケートでバリア機能も未熟なため、乾燥しやすく、かゆみや湿疹も起こしやすいです。お子様の乾燥肌でお悩みの親御様も、どうぞお気軽にご相談ください。
このような場合はご相談ください
- 保湿剤を塗ってもかゆみが治まらない、または悪化している
- 赤みや湿疹、ひび割れなどの症状が出ている
- 強くかきすぎて、皮膚がジュクジュクしたり、血が出たりしている
- かゆみで夜眠れない、日常生活に支障が出ている
- どの保湿剤を選んでいいか分からない、正しいスキンケア方法を知りたい
乾燥肌は、放置すると慢性的な湿疹につながり、つらいかゆみに悩まされることになります。市販薬で改善しない場合や、症状がひどくなる場合は、自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。当院は、患者様の不安に寄り添い、乾燥肌の根本的な改善をサポートいたします。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。