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atopic dermatitisアトピー性皮膚炎(小児アレルギー性皮膚炎)
アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することで、強いかゆみと湿疹が慢性的に繰り返される病気です。多くの場合、遺伝的な体質と、乾燥やアレルギーなど様々な要因が絡み合って発症します。乳児期から発症し、年齢とともに症状が変化するのが特徴です。かゆみによって睡眠が妨げられたり、かき壊しによって皮膚がゴワゴワと硬くなったり、細菌感染を併発することもあります。アトピー性皮膚炎は放置すると症状が長引き、日常生活に大きな影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療、そして日々のスキンケアが非常に重要となります。
アトピー性皮膚炎の主な原因と誘発要因
アトピー性皮膚炎の根本的な原因は、遺伝的な要因による「皮膚のバリア機能の低下」と「免疫の過剰な反応」が複雑に絡み合って引き起こされます。これにより、本来皮膚が守ってくれるはずの外部からの刺激やアレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉など)が容易に侵入し、アレルギー性の炎症を引き起こします。
さらに、日常生活の様々な要因が症状を悪化させる「誘発要因」となります。具体的には、汗、乾燥、ストレス、特定の食べ物(原因となる場合)、衣類との摩擦、化学物質などが挙げられます。アトピー性皮膚炎は「うつる病気」ではありませんし、自己流の食事制限だけで治る病気でもありません。ご自身の生活習慣を振り返り、何が誘発要因になっているかを知ることが、治療の第一歩となります。
アトピー性皮膚炎の治療法
アトピー性皮膚炎の治療は、主に「炎症を抑える治療」「皮膚のバリア機能を改善するスキンケア」「悪化要因を取り除くこと」の3つの柱で進められます。当院では、患者さんの症状や生活スタイルに合わせ、最適な治療プランをご提案します。
具体的な治療法としては、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの塗り薬で炎症を抑える治療が中心となります。かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬の内服も併用します。当院ではステロイド外用薬に対する不安などにも丁寧に寄り添い、安全で効果的な使用法を詳しくご説明します。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
アトピー性皮膚炎の治療効果を最大限に高めるためには、日々のセルフケアが欠かせません。
- 保湿剤の正しい使い方
- 入浴後すぐの、皮膚がまだ少し湿っているうちに、全身にたっぷりと保湿剤を塗りましょう。
- 入浴時の注意点
- 熱すぎるお湯は避け、ぬるめのお湯で短時間で済ませましょう。ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗わず、手や柔らかいタオルでやさしく洗ってください。
- 衣類選び
- ウールや化学繊維など、肌を刺激しやすい素材は避け、綿や絹などの天然素材を選ぶことをおすすめします。
- 掻き壊し予防
- 爪は短く切り、夜間は手袋をするなどの対策も有効です。
- やってはいけないこと
- かゆいからといって掻き壊してしまうと、さらに皮膚のバリア機能が低下し、症状が悪化します。また、自己判断で治療を中断したり、民間療法に頼ったりするのも症状悪化のリスクがあります。
よくある質問(FAQ)
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アトピー性皮膚炎は完治しますか?
アトピー性皮膚炎は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に落ち着いていくのが一般的です。お子さんの場合は成長とともに自然に治っていくことも多くあります。当院では、症状がコントロールされた状態を長く維持できるよう、治療のゴールを「症状を気にせず、日常生活を快適に過ごせる状態」として、患者さんと一緒に目指していきます。
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食事制限は必要ですか?
特定の食物がアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることはありますが、自己判断で安易な食事制限を行うのは栄養面から見てよくありません。アレルギー検査で原因となる食物が判明し、医師の指導の下で最小限の制限を行う場合もありますが、基本的にはバランスの取れた食生活が大切です。
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ステロイド外用薬は副作用が心配です。安全に使用するには?
ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑える上で非常に効果的な薬です。しかし、使い方を誤ると副作用のリスクも高まります。当院では、症状や部位に合わせた適切な強さの薬を処方し、使用量や塗り方、塗る期間などを患者さん一人ひとりに合わせて丁寧に指導しますので、安心してご使用いただけます。
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子供のアトピー性皮膚炎でも診てもらえますか?
はい、お子様のアトピー性皮膚炎の診療にも対応しております。アトピー性皮膚炎は小児期に発症することが多いため、お子様の皮膚の状態やお悩みに寄り添い、ご家族の方と一緒に治療を進めていきます。
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症状が軽い場合でも受診すべきですか?
はい、症状が軽いうちの受診をおすすめします。アトピー性皮膚炎は放置すると慢性化し、治療が長引く傾向があります。初期の段階で適切な治療とスキンケアを開始することで、重症化を防ぎ、症状の悪化を抑えることができます。
このような場合はご相談ください
- 市販の薬を使っているが、症状が改善しない
- かゆみがひどく、夜眠れない
- 湿疹が体や顔など広範囲に広がっている
- 掻き壊しによって皮膚から血や浸出液が出ている
- アトピー性皮膚炎ではないか、と不安を感じている
アトピー性皮膚炎は、一人で悩む必要はありません。当院では、患者さんの不安に寄り添い、症状改善のために全力でサポートします。些細なことでも、お気軽にご相談ください。