疾患一覧
heat rashあせも
あせも(汗疹)とは?
あせもは、大量の汗をかいたときに、汗を出す管(汗管)が詰まって、汗が皮膚の中にたまることで生じる小さなブツブツや水ぶくれの総称です。医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。特に、汗腺が未発達な赤ちゃんや、体温調節機能が低下した高齢者の方に多く見られますが、汗をかきやすい大人にも発症します。かゆみを伴うことが多く、放置するとかき壊して細菌感染を起こしたり、とびひに進行したりすることもあります。
あせもの主な原因と誘発要因
あせもは、汗を大量にかくことが直接的な原因となります。特に、以下のような状況で発生しやすくなります。
- 高温多湿の環境
- 夏場の暑い時期や、クーラーのない部屋、通気性の悪い環境で過ごすことが多い場合。
- 過剰な発汗
- 激しい運動や発熱、厚着などによって、大量の汗をかく場合。
- 皮膚の摩擦
- 首回りや関節の裏、おむつの当たる部分など、汗がたまりやすく、衣類や皮膚が擦れやすい場所。
汗をかいた後、そのままにしておくと、汗の塩分やほこり、皮脂などが混ざり合い、汗管の出口を塞いでしまいます。その結果、行き場を失った汗が皮膚内部に漏れ出して炎症を起こし、あせもとして現れるのです。
あせもの治療法
あせもの治療は、まず汗をかかない環境を作り、炎症を抑えることが中心となります。当院では、患者さんの症状やライフスタイルに合わせて、最適な治療プランをご提案します。
軽度のかゆみや赤みには、炎症を鎮めるためのステロイド外用薬や、かゆみ止めの飲み薬を処方することが一般的です。細菌感染を伴っている場合は、抗菌薬を使用することもあります。ただ薬を処方するだけでなく、あせもを繰り返さないための具体的な予防法や、ご家庭で実践できるセルフケアのポイントも丁寧にお伝えします。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
あせもの予防と早期改善には、ご家庭でのセルフケアが最も重要です。
- 汗をこまめに拭き取る
- 汗をかいたら、濡らしたタオルや汗拭きシートなどでやさしく拭き取り、皮膚を清潔に保ちましょう。
- シャワーや入浴
- 汗をかいたままにせず、こまめにシャワーを浴びたり入浴したりして、汗を洗い流しましょう。ただし、熱いお湯は避け、ぬるめのお湯で短時間で済ませてください。
- 通気性の良い服装
- 吸湿性・通気性の良い綿素材の衣類を選び、締め付けの少ないゆったりとした服装を心がけましょう。
- 室温・湿度調節
- エアコンや扇風機などを利用し、室温や湿度を快適な状態に保ち、汗をかきにくい環境を作りましょう。
- やってはいけないこと
- かゆいからといって掻きむしると、皮膚が傷つき、細菌感染を起こすことがあります。また、ベビーパウダーは汗と混ざって固まり、汗管をさらに詰まらせる可能性があるため、症状がある部分への使用は避けましょう。
よくある質問(FAQ)
-
あせもは自然に治りますか?
軽度の場合、涼しい環境で清潔に保てば自然に治ることが多いです。しかし、かゆみが強かったり、症状が広範囲に及んでいたりする場合は、市販薬で様子を見るのではなく、早めに受診することをおすすめします。
-
赤ちゃんにあせもができました。どうすればいいですか?
赤ちゃんは大人よりも汗をかきやすく、あせもになりやすいです。まずは、こまめに着替えさせたり、室温を調節したりして、汗をかきすぎないように注意しましょう。症状がひどい場合や、かゆみが強く不機嫌な場合は受診してください。
-
市販のあせも用ローションやパウダーを使ってもいいですか?
市販の薬も有効な場合がありますが、症状によっては効果がない場合や、かえって悪化させる可能性もあります。特に、細菌感染を伴う場合は、医療機関での適切な診断と治療が必要です。自己判断で使わずに、まずはご相談ください。
-
あせもと他の皮膚炎(とびひなど)の見分け方を教えてください。
あせもは小さなブツブツや水ぶくれが特徴ですが、かき壊した部分から細菌が侵入すると「とびひ」になることがあります。とびひは、赤みや水ぶくれが広がり、黄色いかさぶたやジュクジュクした状態になるのが特徴です。自己判断が難しい場合は、早めに受診してください。
このような場合はご相談ください
- 市販薬で様子を見ているが、症状が改善しない
- かゆみがひどく、日常生活に支障が出ている
- 赤みや湿疹が広範囲に広がっている
- ジュクジュクしたり、黄色い膿のようなものが付着したりしている
- あせもかどうかの判断がつかない
あせもは、たかが汗疹と軽く見られがちですが、放置すると症状が悪化し、お子様やご自身のつらいかゆみにつながります。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。当院は、患者さんのつらい症状を一日も早く和らげられるよう、丁寧な診療とサポートを心がけています。