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seborrheic eczema脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)
脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)とは?
脂漏性湿疹は、皮脂の分泌が多い、頭皮、顔(鼻の周り、眉毛、耳の裏など)、胸の中央、脇の下といった「脂漏部位」に発生する湿疹・皮膚炎です。皮膚が赤くなり、ベタベタした黄色っぽいフケや、カサカサした鱗屑(うろこ状のフケ)がつくのが特徴です。乳児期に発症する「乳児脂漏性湿疹」と、思春期以降から成人にかけて発症する「成人型脂漏性湿疹」の2つのタイプがあります。脂漏性湿疹は、慢性の経過をたどり、良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いため、適切な治療と日々のスキンケアが非常に重要となります。
脂漏性湿疹の主な原因と誘発要因
脂漏性湿疹の原因は、単一ではなく複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
- マラセチア菌(カビの一種)の関与
- 皮脂を好む「マラセチア菌」という常在真菌(カビ)が、皮脂を分解する過程で皮膚を刺激する物質を作り出し、これが炎症を引き起こす主要な原因の一つと考えられています。
- 皮脂の過剰な分泌
- 体質やホルモンバランスの乱れなどにより、皮脂の分泌が過剰になることが、マラセチア菌の増殖を助長し、炎症を悪化させます。
- ホルモンバランスの変動
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- 乳児の場合
母親から受け継いだホルモンの影響で皮脂分泌が活発になり、生後数ヶ月で発症することが多いです。 - 成人の場合
ストレス、睡眠不足、不規則な生活、ビタミンB群の欠乏などがホルモンバランスや皮脂分泌を乱し、症状を悪化させる誘発要因となります。
- 乳児の場合
脂漏性湿疹の治療法
脂漏性湿疹の治療は、炎症を抑え、原因の一つであるマラセチア菌を抑制すること、そして皮脂の過剰分泌と皮膚の清潔を保つことに焦点を当てて行います。
- 外用薬(塗り薬)
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- 抗真菌薬(抗カビ薬)
マラセチア菌の増殖を抑えるための塗り薬です。 - ステロイド外用薬
炎症や赤みを抑えるために使用されます。症状の重さや部位に合わせて、強さが調整されます。
- 抗真菌薬(抗カビ薬)
- シャンプー・石鹸指導
- 頭皮や顔を清潔に保つために、刺激の少ない弱酸性のシャンプーや、抗真菌成分を含むシャンプー(主に頭皮に使用)の使用を指導することがあります。
- 内服薬
- 炎症や皮脂分泌をコントロールするために、ビタミン剤(ビタミンB2、B6など)や、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を内服することがあります。
患者さんの症状を正確に診断し、特にマラセチア菌の関与を考慮した適切な治療法をご提案します。
日常生活でできること・セルフケアのポイント
治療効果を上げ、再発を防ぐためには、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが不可欠です。
- 清潔の保持(洗い方)
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- 頭皮
毎日、刺激の少ないシャンプーで、優しく、しかし丁寧に洗い、すすぎ残しがないようにしましょう。 - 顔
朝晩2回、ぬるま湯でやさしく洗顔し、皮脂や汗を洗い流します。 - ただし、洗いすぎはかえって皮膚を乾燥させ、バリア機能を低下させるため注意が必要です。
- 頭皮
- 保湿と保護
- 洗顔後や入浴後は、皮脂を補うのではなく、保湿剤で肌のバリア機能を整えることが大切です。
- 食生活の見直し
- 脂肪分や糖分の多い食事は皮脂の分泌を増やしやすいため、控えめにしましょう。ビタミンB群(レバー、魚、ナッツ類、緑黄色野菜など)を意識して摂りましょう。
- 規則正しい生活
- ストレスや睡眠不足は症状を悪化させます。規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠と適度な運動を取り入れましょう。
よくある質問(FAQ)
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脂漏性湿疹のフケと、普通のフケ(乾皮症など)はどう違いますか?
普通のフケ(乾皮症など)は、頭皮が乾燥してパラパラと白い乾いたフケが出ます。一方、脂漏性湿疹のフケは、皮脂が混ざっているため、黄色っぽく、ベタベタとして、かたまりになっていることが多いです。
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乳児脂漏性湿疹はいつ頃治りますか?
乳児脂漏性湿疹は、通常、生後数ヶ月から数週間で自然に軽快することが多いです。しかし、症状がひどい場合や、長引く場合は、適切な治療が必要です。
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治療をすれば完治しますか?
成人型の脂漏性湿疹は、体質的な要素や生活習慣が大きく関わるため、再発しやすい慢性疾患です。完全に治癒することは難しいですが、適切な治療とセルフケアで症状のない状態(寛解)を長く維持することは十分に可能です。
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抗真菌薬を塗れば治りますか?
抗真菌薬はマラセチア菌を抑えますが、皮膚の炎症も同時に抑える必要があるため、通常はステロイド外用薬と併用することが多いです。自己判断せず、医師の指示に従って使用してください。
このような場合はご相談ください
- 頭皮や顔のフケ・赤みが治らない
- かゆみがひどく、掻き壊してしまう
- 市販のシャンプーや薬を使っても改善しない
- 症状が広範囲に及んでいる
脂漏性湿疹は再発しやすいため、根気よく治療を続けることが大切です。お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。